将棋は、二人で対戦する日本の伝統的なボードゲームです。チェスと似ていますが、取った相手の駒を自分の持ち駒として使える独特のルールがあり、これが将棋の最大の特徴となっています。
「ルールが難しそう」と思われがちですが、基本を押さえれば意外と簡単です。このページでは、初めて将棋に触れる方でもすぐに対局を楽しめるよう、基本ルールをわかりやすく解説します。
2人のプレイヤーが先手と後手に分かれ、9×9マスの盤上で、それぞれ20枚の駒を使って対戦します。先に駒を動かす人を「先手」、後から動かす人を「後手」と呼びます。
相手の「王将(玉将)」を詰ませた方が勝ちです。王将を取ることではなく、「詰ませる」こと、つまり次の手番で確実に王将を取れる状態にすることが勝利条件となります。
| 玉将・王将(ぎょくしょう・おうしょう)周囲8マスの全方向に1マス動けます。成ることはできません。 | ![]() | |||||
| 飛車(ひしゃ)縦横に何マスでも動けます。他の駒を飛び越えられません。 | ![]() | 成る→→ | 竜王(りゅうおう)飛車+銀将の動きが可能。 | ![]() | ||
| 角行(かくぎょう)斜め4方向に何マスでも動けます。他の駒を飛び越えられません。 | ![]() | 成る→→ | 竜馬(りゅうま)角行+金将の動きが可能。 | ![]() | ||
| 金将(きんしょう)前・斜め前2方向・横2方向・真後ろの6方向に1マス動けます。成ることはできません。 | ![]() | |||||
| 銀将(ぎんしょう)前・斜め前2方向・斜め後ろ2方向の5方向に1マス動けます。 | ![]() | 成る→→ | 成銀(なりぎん)金将と同じ動きが可能。 | ![]() | ||
| 桂馬(けいま)2つ前の左右斜めの位置に飛べます。他の駒を飛び越えられます。 | ![]() | 成る→→ | 成桂(なりけい)金将と同じ動きが可能。 | ![]() | ||
| 香車(きょうしゃ)前方に何マスでも動けます。他の駒を飛び越えられません。 | ![]() | 成る→→ | 成香(なりきょう)金将と同じ動きが可能。 | ![]() | ||
| 歩兵(ふひょう)前に1マスだけ動けます。 | ![]() | 成る→→ | と金(ときん)金将と同じ動きが可能。 | ![]() |

王将と金将以外の駒は「敵陣に入るとき」「敵陣から出るとき」「敵陣の中で動くとき」に「成る」ことができます。成ることで、それぞれの駒の動きが変化しますが、多くの駒は成ると「金将」と同じ動きになります。例外は飛車と角行で、これらは成ると元の動きに加えて新しい動きが追加されます。
将棋を始めるにあたって、まず覚えるべきは次の4つの基本動作です。「指す」「打つ」「取る」「成る」。これらを理解すれば、すぐに対局を楽しめます。
盤上にある自分の駒を動かすことを「指す」といいます。自分の手番が来たら、駒を1つ選んで、その駒が動ける範囲内の好きなマスに移動させます。
相手から取った駒(持ち駒)を盤上の空いているマスに置くことを「打つ」といいます。これが将棋独特のルールで、チェスにはない特徴です。
● 持ち駒は、駒台に置いておきます
● 空いているマスならどこにでも打てます
● 打った駒は表向き(成っていない状態)で置きます
● 駒を打った次の手番以降に成ることができます
自分の駒が動ける場所に相手の駒がある場合、その駒を取ることができます。取った駒は自分の持ち駒となり、後で盤上に打つことができます。成っていた駒を取った場合は、表の状態で持ち駒として加え、その状態のまま使います。
自分の駒が相手陣(相手側の3段目)に入った時、駒を裏返して「成る」ことができます。成ると、駒の動き方が変わって強くなります。
成れるタイミングは以下の状況です。
1. 敵陣に入る時
2. 敵陣から出る時
3. 敵陣内で駒を動かす時
歩兵・香車は敵陣の最奥段、桂馬は敵陣の最奥2段に入った時は強制的に成ります(成らないと次に動けなくなるため)。成るか成らないかは選択できますが、一度成ったら元に戻すことはできません。状況によっては成らない方が有利な場合もあります。
王手や詰みがどのような状態なのか理解しておくことはゲームを進める上でも大切です。
相手の王将に自分の駒の利き(駒が動ける範囲)がかかっている状態を「王手」といいます。次の手番で王将を取れる状態です。
王手をかけられたら、次の3つの方法のいずれかで王手を回避しなければなりません。
1. 逃げる:王将を安全なマスに動かす
2. 取る:王手をかけている相手の駒を取る
3. 受ける:別の駒を王将と相手の駒の間に入れて防ぐ
どうやっても王手を回避できない状態を「詰み」といいます。詰みになった時点で対局は終了し、詰ませた側の勝利となります。将棋の目的は、相手の王将を詰ませることです。いくら相手の駒をたくさん取っても、王将を詰ませなければ勝ちにはなりません。
実際の対局では、完全に詰む前に「これ以上指しても勝てない」と判断した場合、「負けました」と宣言して投了することが一般的です。これは将棋のマナーであり、プロの対局でも多く見られます。
将棋には、やってはいけない「禁じ手」があります。「なんでここに指せないの?」「なんでここに打てないの?」と思ったら、以下の禁手を思い出してみて下さい。
成ってない歩兵を2枚以上、同じ縦の列には配置できません。
盤上で動かせなくなるような指し・打ちはできません。
持ち駒の歩兵を使って、王将を詰ませることはできません。
自分の手番で、自分の王将を相手駒の利きに晒すことはできません。
基本ルールのほかに重要なルールをいくつかご紹介します。
通常、同一局面が4回生じると「千日手」となって無効勝負となりますが、SDIN将棋では千日手を判定していません。
一方が連続して王手をかけ続けた結果、千日手になった場合は、王手をかけ続けた側の反則負けとなります。
両者の王将が相手陣に入り込み(入玉)、お互いに詰ます ことができない状態になった場合、駒の点数を計算して勝敗を決めます。この特殊な引き分け規定を「持将棋」といいます。
対局を始める前に、駒を正しい位置に並べる必要があります。最も一般的な並べ方(大橋流)の手順を紹介します。SDIN将棋では、並べる必要はありませんが、初期配置のポイントをご紹介します。
● 1段目:中央に王将、その両脇に金将、さらに外側に銀将、その外に桂馬、最も外側に香車
● 2段目:右から2番目に角行、左から2番目に飛車
● 3段目:9枚の歩兵を一列に並べる
基本ルールを覚えたら、次は実際に対局を重ねて経験を積みましょう。
詰将棋は、王様を詰ます手順を考えるパズル形式の練習問題です。実戦で最も重要な「詰ませる力」を効率的に鍛えられます。詰将棋をプレイするなら、SDIN詰将棋もお勧めです。
● 1手詰めから始めましょう(初心者向け)
● 毎日少しずつ解く習慣をつけると効果的です
● 短時間でも取り組める(通勤・通学時間に最適)
ルールを覚えたら、次は「どう攻めるか」「どう守るか」の基本を学びましょう。戦法を詳しく知りたい時は、将棋の戦法を読んでみて下さい。
初心者におすすめの囲い
● 美濃囲い:組みやすく堅い、初心者に最適
● 矢倉囲い:バランスが良く、伝統的な囲い
初心者におすすめの攻め方
● 棒銀戦法:銀と歩で一直線に攻める、最も簡単な戦法
● 四間飛車:守りから始めてカウンターを狙う、人気の戦法
1. たくさん対局する:理論より実践。負けてもいいのでたくさん指しましょう
2. 詰将棋を解く:1日3問でも続ければ確実に強くなります
3. 対局を振り返る:負けた対局こそ宝の山。なぜ負けたか考えましょう
初心者にありがちな疑問についてご紹介します。
最初から全部覚える必要はありません。駒の動き一覧表を横に置いて、見ながら指すのがおすすめです。実際に何度も指していれば、自然と覚えられます。まずは「王将を詰ませる」という目的だけを意識して、楽しみながら指しましょう。
初心者は次の3つを意識すると良いでしょう。
1. 王将を守る:まず自分の王将を安全な場所に移動させましょう
2. 強い駒を活用:飛車と角行を使って相手を攻めましょう
3. 詰みを探す:常に相手の王将を詰ませる手がないか考えましょう
基本的には成った方が強くなるので、迷ったら成りましょう。ただし、桂馬などは成ると前方に跳ねられなくなるため、状況によっては成らない方が良い場合もあります。最初のうちは深く考えず、成れる時は成る、という判断で大丈夫です。
将棋は必ず勝敗が付くゲームなので、負けることは当たり前です。大切なのは、負けた対局から学ぶことです。「なぜあの手で負けたのか」を考えると、次第に上達していきます。